オモイビト


「辰!」

「そんなに急いでどうかしました?」

「陽紀と話してたら時間がなくなっちゃって!銀さんが!!」


辰の動きが、一瞬固まったように見えた。


「送りますよ、乗ってください」

「ホント!?ありがたいっ!」


自然と車は動き出したけど、家知ってるのかな?

なんかみんなあたしの名前知ってたし、ホントに家も知ってたりして……。


「もう時間になりますけど、よろしければワンセグで見ますか?」

「みる!!」


カーナビのワンセグで見させてもらった。


30分後、番組が終わると共に車が止まった。


「さぁ、降りてください」

「へ?」


そこには、全く知らない喫茶店があった。

この喫茶店こそが『TEAR』。
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