春も嵐も
「どっかの資産家がこの商店街の土地を売却して、新しい街にしようって言うの」

弥生はさらに顔を深刻化させて、怪談話をするような重い口調で言った。

「マジで?」

俺が聞き返したら、
「そう、マジで。

本当は去年の夏くらいからこの話が出てたんだけど商店街の面々が大反対。

今日まで冷戦状態が続いてたんだけど、資産家がもう待ってられないみたいな感じでブチギレたらしくてこの状況なのよ」
と、弥生が答えた。

「なるほど…」

弥生の話に、俺はうんうんと首を縦に振ってうなずいた。
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