春も嵐も
出てきたその声は、震えていた。

動じないと決めたのに。

何があっても、迎えるつもりだったのに。

なのに…俺の父親が藤見椎葉の父親ってありえないのもいいところだ。

「そのペンダント…」

藤見父が指差したのは、俺の胸元だった。

そこには母さんの形見のペンダントがあった。

海のように深い青のペンダントは、父親がプレゼントしてくれたものだと母さんは言っていた。

「私が君のお母さんにプレゼントしたものなんだ。

裏に、私のイニシャルが書いてあるだろ」

藤見父にそう言われて、俺は裏を確認した。
< 168 / 211 >

この作品をシェア

pagetop