春も嵐も
H.Mと彫られていた。

「藤見昌義(フジミマサヨシ)――間違いない、そのペンダントは私がプレゼントしたものだ」

藤見父が言った。

俺には、何も聞こえてこなかった。

探してた父親がこの人?

目の前の、藤見椎葉の隣にいるこの人?

「言いがかりはよしてくれませんか?」

親父が俺の前に現れた。

「彼――嵐の父親は、この私です。

こんなことまでして、商店街を手に入れようとでも言うのですか?」

そう言った親父に、
「違う!」

藤見父が首を横に振った。

「そのペンダントは、確かに私のものです。

そしてその子は、間違いなく私の息子です!」
< 169 / 211 >

この作品をシェア

pagetop