強がりも全部受け止めて
「“ごめん。でも彼女は俺がいないとダメなんだ。由梨は違うだろ
由梨は俺なんかよりずっと強いから。だから俺は必要ないと思う”ですって」





申し訳なさそうな表情で、でも言った言葉はとてもキツイものだった。





『君は何て答えたの?』




「何も」




『…何も言わずに?』




「…ええ。」




言えなかった。




彼の側に泣きながら寄り添う彼女。その彼女の肩を抱く彼。




その姿を見せ付けられたら、もうダメなんだって思うしかないじゃない。




怒鳴ることも、泣いてすがりつくことも出来なかった。




「何も言えずに合鍵を返してその場から立ち去っちゃんたんです」




『…強がってしまったんだね?』




彼の前での最後の強がり。



それに彼は気付いてくれないまま、私たちは終わった。




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