強がりも全部受け止めて
まあ確かに?今日のことを私が断れないように根回しまでしたくらいだものね。




この話を部長が持ってきたあの日、私が少しの残業で溜まってた仕事を終わらせることが出来たのにはちゃんと理由があった。




私の仕事を部長が手を回してこっそり他の人にやらせてたなんて。




普段の私なら気付けただろうに、気付けなかったのを悔やんだわ。




…一瞬だけだけど、ね。




実はこの日のために服を新調した。部長には絶対言わないけどね。




紺色のフォーマルワンピースに、清楚に見えるように白のカーディガンを合わせて、髪は毛先を少しだけ弛く巻いた。




気合いを入れすぎって思われたりしないかが不安な所。




「部長、先方がお見えになる前に化粧室へ行ってきてもいいですか?コーヒー飲んだら口紅がとれてしまって…」




なんてたいしてとれてもないんだけど。




さっきからあからさまに褒めて機嫌を取ろうとしてくる部長と2人きりっていうのが、居心地悪くて。




それでなくても今の私は緊張してるっていうのに。




< 39 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop