強がりも全部受け止めて
不意に、専務さんが私へと視線を移してきた。




目が合った瞬間、言い訳よりも何よりも、まず1番最初にしなくてはいけないことがあったと思い出し、その場で深くお辞儀をした。





「は、初めまして!笹岡由梨と申します」




いきなりどもってしまったことに、ヒヤリとした汗を背中に感じた。

更に平身低頭しながら言葉を続ける。




「ご挨拶が遅くなり申しわけありませんでした」





初対面なのに、挨拶すらしないでボケ〜っとしてて、なんて失態。






ああ、もう。出来ることなら今日の朝からやり直したい。





お辞儀をしたままの姿勢でそんな事を考えていると、頭上から優しい声が聞こえてきた。





『顔を上げてください』





ゆっくりと顔を上げると、先ほどまでのからかうような表情とはうって変わって、ポン、と私の肩に手を置いて専務さんは穏やかな笑みを浮かべてた。




『こちらこそ挨拶もせずに、からかってしまってすまなかったね』





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