強がりも全部受け止めて
話す話題もなくなって、デスクに戻らなくちゃいけないと思うと自然と大きなため息が出た。




また冷やかされたりするのかしら。ああ、戻りたくないな。





『・・・部長に口止めしとけば良かったのに』





ため息をついた私にコピー機を操作しながら言われて、またため息が出る。





「ええ、そうね。そうしときゃよかったって、心底後悔してる」





『よくお見合いなんてする気になったな。ヤケ起こしたわけじゃないよな?』





その言葉に驚いて思わず見上げてしまった。





『なんだよ』




「え、早坂君が亜希ちゃん以外の女の人の心配をするなんて。明日嵐でも来るんじゃない?」




つい本音を言うと早坂君はあからさまにムッとする。




「ご、ごめん」





『亜希が、笹岡のこと心配してたから聞いただけだ』




やっぱり亜希ちゃんが心配してたからか。
ふふ。早坂くんらしいな。



< 85 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop