プラグ・イン
序章
「またウイルスかよ…。」

銀髪で長身の男が、パソコン画面に毒づいた。彼の名前は桐生丈。この端末学園の生徒である
見た目通りの素行の悪さから、先生からは敬遠され、生徒からは恐れられている。
今彼は、補習授業の最中である。

桐生は机の上に足を乗せ、体を仰け反らすとシャツの胸ポケットから、煙草を取り出し火を付けた。

「きっきき…桐生くくん…先生の前でで、たた煙草をす吸わないでくくれよぅ。」

オドオドとドモリながら桐生に注意をしたのは、桐生が専攻する情報科の顧問 松平 哲 独身である。
この松平は、桐生の家の近所に住んでおり幼い頃よりの顔馴染みである。
察しのいい読者なら、この二人の関係は至極明確であると思う。よって割愛させてもらう。

「何だ…哲いたのか。煙草も吸いたくなるぜまったくオレのデータが粉微塵だわ。」

松平の存在に余計気怠さを感じたのか、眉間のしわが、より濃くなるのが見てとれた。
ジュッ…。
吸いかけの煙草を画面に押しつけると、ローラー付きの椅子を松平の所まで転がした。そのまま向き合い松平にデコピンの体勢をとった。

「ひっ…ひぃ…。」

既に半泣きの松平は息が漏れたような情けない悲鳴をあげた。と同時にデコピンが彼のデコへと食い込んだ。

バシンっ…。

「めんどくせーから帰るわ。あとやっとけよ哲。」

額をおさえてうずくまる松平を後目に教室を後にした。
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