青春跳び蹴り
私の放った馬鹿と言う言葉に
少しだけ反応している谷井。
「ふんっ、ふーんだっ!
馬鹿じゃないっ!」
でも、鼻歌はやめない。
「ちょっと、鼻歌やめてよ。」
冷静にそう呟いてみると、
谷井は視線を私に向けて言った。
「馬鹿じゃないっ!
少なくともお前よりはっ!」
「ちょっと待てえぇ!!!」
谷井より馬鹿なんて屈辱。
絶対許せない谷井のくせに
生意気だ生意気だ。
「ふむ、馬鹿は声がでかい。」
「黙れ、この赤点天然野郎!」
ギャーギャーと騒ぎ立てる私に
谷井はフンッと鼻で笑い、
いつものようにテクテク歩き出した。
あぁ、また昨日と変わらない
内容しか喋ってないなぁ、
なんて思う私を廊下に残して。
ま、いつものことか。
そう呟いて、私は谷井の背中に
向かって跳び蹴りをした。
ーENDー

