青春跳び蹴り

すると谷井は過敏に反応して
異常な速度で歩き始めた。

「ちょっ、はやい。」

いつもはタラタラテクテク
やる気無さそうに歩く谷井が
こんなに早く歩くのは今まで
見たことがなかった。

「ふんっ、ふんっ。」

鼻息を荒くしながら歩く谷井は
少し動物のように見えて
私は密かに口元だけで笑った。

「ふんっ、ふーん!!!」

でも、変な鼻息と変な鼻歌を
楽しそうに出す谷井を見ると、
やっぱり笑いがこみあげてきた。

それと同時に、改めて思った。

「谷井って、馬鹿だよね。」

可愛らしい馬鹿。
憎めない天然。
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