愛乗りシンドバッド

身も心もホクホクさせながら、
数人の召し使いに
手を惹かれようにして
浴場を出ると、
緑の多い中庭が広がる
歩廊を歩く。

なんともおいしい目に……
いや、充実した応対を
受けているものだが、
そういえばずっと
入院していた俺にとって
この風呂はひどく
さっぱりしたものになった。

だんだんこの場所に
慣れてきた俺は、
そこに建ててあった
女の石像の頬を愛でながら
一人前の男の雰囲気を味わう。

……フフフ。
山田に言ったら
さぞ羨ましがるにちがいない。

今夜も楽しみになってきたぞ。

アッバーサさんの心がいう
『あなたが欲しい』って、
案外そのまんまの意味かもな。
ゲヒャヒャヒャ。

暗い中庭の奥には
さらにいくつもの
堅牢な宮廷が見えた。
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