愛乗りシンドバッド
ハルは微笑むと
今度は観音開きの
くたびれた木窓に近寄り、
手を後ろに組んで
夜空を見上げる。

ハルに興味があった俺も
その横に歩み寄った。

風呂上がりの体にあたる
夜風が気持ちいい。

着替えのポロシャツも
持ってくるんだった。

「でも未来を読むことって
簡単なんだよ。
今の時代、天文学も
測地学も正確だし、
商業も教育だって
滞りなくしつけられているし。
まず天気予報がGPSで
送られてくるんだから
恐ろしいよな」

「……まあ、
昔の人だったら
そう思うかもな」

……昔の人だったらな。

「それよりもさ、
複雑なのはやっぱり
人の心情のほうで、
深淵に隠された真意は
現代でもいまだに
解きほぐせていない。
アラー神の造りだした
難問の1つじゃないかな」

その時どことなくだけど、
ハルの横顔が憂いを
帯びているように思えた。

なんだろうか。

少し様子がおかしい……?
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