滑稽なワルツ
日常ワルツ
特別、何をしたわけでもない。
ただ、その人を取りまく雰囲気。
誰にでも渦巻く、その人特有のオーラが悪いのだ。
何かが、違う。
そう感じた途端、周りの人間は一斉に境界線を引き、その人物を孤立させる。
あの人は何か違う。
そう無言で罵倒しているかの様に、無関心な武器を振りかざす。

ああ、またか。

桜ヶ高校2年に通う高遠亜紀は、まさにその部類の人間であった。
特に将来の目標などもなく、家から近いという理由だけで志望校を受験した。
必死扱いて毎日勉強したというわけでもないが、その天才的な頭脳で見事合格。
勉強が得意、なのでは無く、勉強しか取柄がないのだ。
そうして、ただ何となく入学し、ただ何となくクラスに馴染めずに2年へ進級してしまった。

また、孤立してしまった。

自然と深いため息が漏れる。
新しいスタートを切るチャンスだったのに。
またきっかけを逃してしまった。
軽い自己嫌悪に苛まれ、しっとりと冷たい両手で顔を覆う。

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