滑稽なワルツ
亜紀と同じ中学だった何人かの同級生達は、さなぎが羽化して蝶となる様に、華麗に変身を遂げていった。
中学まで無口だった子はよく喋る様になり、地味だった子は髪にパーマをあててピアスを開けたりなど、変化は明らかだった。
もちろん校則違反なのだが、自分を変える為にはそんな事はお構いなし。
良くも悪くも、見事に高校デビューというわけだ。
それは女子だけではなく、男子も同じ事だった。

1年の3学期頃からだろうか。
入学時に多少居たものの、先輩や雑誌に影響を受け、まだ幼さやあどけなさが残る顔にファンデーションやアイライン、マスカラなどで自分を美化してゆく子が増えたのは。
男子に至ってはワックスで髪を立てたり、ジャラジャラとシルバーアクセサリーなどを身に付ける姿を、よく見かける様になった。
きっとどちらとも、異性を意識しての事もあるのだろう。
恋を、してるのかもしれない。

だけど亜紀はそうした同級生達を、かわいいだとか、かっこいいだとかこれっぽっちも思ったことは無かった。
むしろそのアンバランスさに、妙な違和感を覚えたぐらいだ。

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