文系男子。
「…何で機嫌が悪い訳」
「世の中は不公平だと思って」
「そんなもんだろ」
「…竹之内さんはそーゆー経験あるの?」
「しょっちゅう」
「…ふーん」
「自分の思い通りになる事なんて、滅多に無いさ」
頬杖を付く竹之内は、隣に座っている。
丁度向かいの席では、大学生らしき人がせっせとレポートを書いていた。
「…期末どうだったの」
「んーなんとか」
「なんとかってさ…」
お、珍しく苦笑した。
その視線に気づいたのか不機嫌そうな顔で見てくる。
「…なに」
「いや、別にい」
「…つーかパンツ見えてる」
「ハーフパンツだから大丈夫」
「はあ…どうしてそんなに女っ気が無いかな」
「女々しい子苦手だから」
「女友達は?」
「少ないですねえ…」
「そうかよ」
そう言うと、席を立った。
「…もう帰るんですか?」
「ああ。今日はちょっと…」
「…そっか」
「どうかしたか?」
「何でもないです」
最近、イライラしてる気がする。
何でだろう。
「…じゃあな」
竹之内はあたしの頭をポンポン、と叩くと、ショルダーバッグを肩にかけ、歩き出した。
「…もうちょっと愚痴聞いてくれたって良いのに」
その背中に不満をぶつけたが、竹之内は振り向かなかった。