文系男子。
竹之内が帰った後、あたしはインターネットでのおちことみの事を調べていた。
この作業が一番楽しい。
勿論、話題になった所為でアンチも少なくない。
だが、彼女の書く話はなんと言うか、綺麗で、自然にするりと話が入ってくる。
『恋愛物なんて全然読まなかったのに、この人のは読みやすいの』
ざっくりと内容を話すと、在り来たりな高校生の恋愛と、別のカップルの恋愛が途中から絡み合って、
『それは…縦書きにしたらもっと売れるだろうね』
竹之内はつまらなそうに言う。
『この人は売るの目的で本書いて無い気がするんですよね』
そう答えると、竹之内は黙った。
「メモとんなきゃなあ…」
カバンを漁り、メモをとる。
「まーそーお」
「木月か…」
「今残念そーな顔しただろ」
「してないしてない」
「竹之内さんは?」
帰ったよ、と言うと、なんだーと木月が残念そうな顔をした。
「…なんで?」
「お礼言いにきたのに」
「木月って変なとこで律儀だよね」
「えー?そうかな…あ、てかさ」
「…なに?」
「竹之内さんと付き合ってんの?」
「いや…付き合ってはない」
ああ何でだ。
この悲しい感じ。
「…ふーん?」
「なんだよう」
「いやー別に?竹之内さんいねーなら良いや。じゃあねー」
手を振り、木月は図書館から出て行った。