文系男子。

[Giove]

転がる様に外を目指す俺の行く手をスーツの男共が塞ぐ。

「寺田のネズミだ!」

そこまで割れてんのかよ!

「女はどこ行った?!」

廊下を走りながら1人、2人と投げ飛ばして一歩踏み出すと、朱鷺が突っ込んできた。
キラリと左手で煌くのは、多分ナイフ。

「どわっ!」

方向転換をしようと止まるが、靴下で滑る。

このままじゃあバラ肉にされちまう。

「Cazzo!」

思いっきり身体を反らすと、ピッ、と何かが頬に触れた。
やべ。マスクが剥がれる。

「誰に飼われてる!」

突き出されるナイフの切っ先を躱しながら俺は答えた。

「お前らが1番分かってるだろうが!」

靴を履かないままで縁側に出た。
砂利が足に刺さって痛い。
日本ってのはホント…めんどくさい。

「…お前は、誰だ?」

松葉が冷ややかな目をしていた。

「Non è tutto oro quel che luccica…俺はお前を知ってるぜ?」

意味ありげにニヤッと笑ってやると、松葉は目を細めた。

おっと。
これ以上まごついてるとミンチにされそうだ。

俺は松葉に聞いた。
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