文系男子。
「…座らないんですか」

「俺はお前の恋人じゃ無いんでね」

隣に座る権利は無いな。

肩を竦める竹之内の手にはコーラが握られていた。
それも長財布を見た時の様に、意外だった。

そんなに長く出ていないのに、つ、とこめかみの辺りに汗が伝う。

「…暑いね」

そう呟くワリに竹之内の顔には汗一つ浮かんでいない。

「そうですね」

適当に答えると、竹之内がじっと此方を見ている。

「…何ですか」

「お前、大丈夫か?」

「何が…」

「いや、何時も1人で図書館くるから」

「あー…大丈夫ですよ、多分」

変なとこ心配してくれますね。

そう言えば、ぺしんと頭を叩かれる。
と言うか頭に手を置かれる。

「俺は高校生の時なんざ毎日友達と遊び回ってたけどな」

「へー竹之内さんて友達……いや、何でもないです。ごめんなさい」

「………」

メガネの奥の目が釣り上がっているのが見なくても分かる。

「…にしても暑いですねー」

パタパタと制服の胸元をつまみ、誤魔化すと、竹之内は、ああ、とだけ答えた。
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