文系男子。
[田原]

「…裏切られたって思うのは、その人の事、信用してるからだよ」

ケータイを閉じ、俺は隣の彼女を見て、ニッコリと笑う。





「好きなんでしょ?」





「すっ………」





はくはく、と口を開閉している真朱の顔をがどんどん赤くなっていった。


俺は彼女の手の中から、空になった紙パックを取ると、ゴミ箱に捨てた。


「また何かあったら話して欲しいな」


そんな男止めちゃいなよ、なんて言わないから。


安心させる様に視線を合わせると、彼女は、真っ赤になったまま、

「え、あ、…ありがとう」

と言い、弾ける様な笑顔を見せた。

俺もつられて笑って、もう、大丈夫?と聞いた。
彼女は首を縦に振ると、もう一度、

「ありがとう」

と言った。
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