文系男子。
「…Buongiorno,signorina?」

最近色々と面倒事が重なった所為でロクに寝てないのを思い出す。

「…あー、悪い、丁子、幹部」

「疲れてたんだよね。しかたないよね」

にっこりと笑みを浮かべているが、目の奥は鋭く光っており、俺は中途半端に起こした上半身を動かす事が出来なかった。

「すみません」

この人は松葉丁子(マツバチョウジ)という。
手っ取り早く言えば俺の上司。
後ろで上半分の髪を結い、スラリと長身で、整った顔立ちをしている、男だ。
しかし女好きで、ヘビースモーカーという短所も、ある。

「…早く準備しろ」

地を這う様な低い声にびくりとして、俺は慌ててベッドから降りた。
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