文系男子。

疾走


[真朱]

「ちょっと!木月!」

不意に部室を飛び出すと、木月は何処かへ行ってしまった。

「何してんの…あの人…!?」

嫌な予感しかしない。

「木月いいいいいい!!!体操着で何処行くんだあああ!!」

駐輪場の方で恐ろしい体育教師の怒鳴り声がする。

「すいません!!今だけ見逃してくだああい!」

窓から駐輪場の方を見ると、
半袖の体育着を肩まで捲くった短髪の男子が立ち漕ぎで自転車を漕いで、
体育教師を振り切って行く所だった。

「真朱さん!」

振り返ると、息を切らせた田原と谷内が立っていた。

「あいつ何したの?!」

「…分かんない」

どうしよう  あたし  何かした?


  
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