Pinky
地下鉄に乗るのも
初めてだった。


地下鉄の入り口を探すのも
一苦労だった。

途中で何度も泣きそうになる。





練習場は少し遠いとこだったから
和人は職場から
地下鉄に乗って練習場に
通っていた。




昨日は眠れなくて
地図を見てたりしたけど


やっぱり心細くて
何度も部屋で待ってたらよかったって
後悔した。


地下鉄を降りてからが
大変だった。



見知らぬ人で優しそうな人を探して


「今 何時ですか?」


そう尋ねる。


無情にも
時間ばかりがどんどん過ぎて行く


「あと何分かかるの……」



 練習は何時までだったかな



公衆電話の少なさに
悲しくなった。



「和人・・・・・
和人のバカ・・・・・
どうして迎えに来てくれなかったの」



「もうすこし……だから
頑張ろう………」



とにかく和人に会いたい


和人がボールを追っている姿を
見て見たい・・・・・



小高い丘に
和人の会社の名前のついた
看板が見えた。



やっと・・・・


やっとついた・・・・・


弁当の袋を握りしめて
小走りに坂道を登った。


                                                                        
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