最後の天使
美紀は
俺のスーツに顔をもぐらせて、
眠りについた。
昨日よりも
確実に熱は上がってるはずだ。
俺は
昨日病院に連れて行かなかったことを
少し後悔しながら
今日の夢のことを考えた。
『あたしがいなくなっても、悲しまないでね』
美紀のその言葉が
俺の胸にしこりのように残る。
美紀は
天使のようだ。
でも
天使ではあってほしくないかな。
だって君は
人間ではなくなって
俺には見えない存在になってしまうのだから。
窓の外は
葉が緑に変わり、
過ぎゆく人の服が
短くなり、
少しばかりか
足早になって
夏のにおいをかおらせていた。