籠の鳥
あくらは男の子が産まれたあと、深夜0時を越して産まれた子だ。

最後まで母親を手こずらせた元気で活発な子。



逆に男の子は内気で物静かな子。

妖怪なんてこの村に来るはずないと思っていたから、自分はこのままでも静かに暮らしていけると思っていた。



あの日までは………



『いい?あなた達はここに隠れているのよ?絶対に出てきちゃ駄目だからね??』

母親が男の子達に強く言い、子供だけがギリギリ入れる押し入れを閉めた。



走っていく足音が凄く不安で怖くて、男の子はあくらの手を握った。

あくらもギュッと握り返す。

『大丈夫、あたしがちゃんとざくやを守るから。例え何があっても、この人形を互いに持っていれば大丈夫』

そう言って暗い中で飾ってあった人形を見せた。

男の子も左手に握っていた人形を強く握り直す。

『ざくやは何も心配しなくていい。あたしの手だけ、握っていれば』
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