籠の鳥
その大人の子供っぽい喧嘩を止めようとしたが、僕はさやに手を引かれて先を歩いた。

「止めなくていいんですか?(焦)」

「勝手にさせときゃあいいだろ。あいつらは子供じゃないんだ。ただの体温上げだ、喧嘩じゃない」


体温上げって…

明らかに始まりは悪戯でしょ…


徐々にざくや達から距離が離れ、ついにマオ達に追いついた。

「まぁ、可愛いカップルですこと」

「勝手に人間とカップルにしないでくれ」

振り返りながらのマオにさやは言い捨てた。

隣ではフウが冷ややかな視線を投げている。

「ここは妖怪があまりいないようだ。妖怪も冬眠でもしてるのかな?」

「それじゃあさやは妖怪じゃないのか、ああ?」

「何言ってるさや、お前は今人間じゃないか」

そう言って喧嘩(ならぬ体温上げ)から出てきたやつはさんが僕の空いている手を握った。

「ほらもう、こうなれば家族には見えなくはないだろう?」

キラキラと輝きながら話すやつはさんの後頭部にざくやの蹴りが入った。

そのまま雪の上に顔が突入する。
< 118 / 193 >

この作品をシェア

pagetop