籠の鳥
「………」


まさか…


焚き火のパチッという音と共に聞き覚えのある歌が流れてきた。

「嘘…何でこんなときに……」

ふらふらしながら立ち上がり外を覗いた。



外には火の玉を浮かべて複数の妖怪が僕を探していた。

「ざくやもマオもいないのに……」

やつはさんを見たが、とても戦える状態ではない。


ここにいたらやつはさんまで巻き込む…。


僕は竦む脚を外に向けた。

「ここを出ちゃ駄目ですよ…」

そう呟いて一気に飛び出した。

それをすぐに妖怪が悟る。

木々を掻き分けて走った。

後ろからは妖怪が群れを成して追いかけてきている。


僕は甘え過ぎだ…

じっとしてれば誰かが守ってくれるとか、なに気の抜けたこと思ってんだ僕は!
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