籠の鳥
やつはとは逆の方向に足を進めた。
Ⅰ
寒い森の道を、まだら温かい狐の背に乗って走った。
しがみつくようにして乗っていたが、身体を起こす気にはなれなかった。
「ついたよ。姫の城だ」
止んだ風と共に聞こえたフォルコの声で顔を上げた。
そこには薄暗く建つそこそこ大きい館。
僕を降ろしたフォルコは人間の姿に戻った。
「姫は人間が嫌いなんじゃないんですか?」
暗く嫌みっぽいことを言う。
フォルコは何食わぬ顔でさらっと答えた。
「姫は妖怪に味方する人間は大好きなのだよ。こっちは思う存分利用するだけだからね。その無知で愚かな人間を見るのを楽しんでいる」
話しながら歩き出すフォルコにまだらは早足で追いついた。
「まだらくんも、姫に会うんだったらもっと愛想よくしたほうがいいよ。仲間と離れたことは…「分かってもらいたくないですから、別に気にしなくていいですよ」」
振り返るフォルコとは目を合わせずに俯いていた。
しばらく長い道を歩いて館の中に入った。
Ⅰ
寒い森の道を、まだら温かい狐の背に乗って走った。
しがみつくようにして乗っていたが、身体を起こす気にはなれなかった。
「ついたよ。姫の城だ」
止んだ風と共に聞こえたフォルコの声で顔を上げた。
そこには薄暗く建つそこそこ大きい館。
僕を降ろしたフォルコは人間の姿に戻った。
「姫は人間が嫌いなんじゃないんですか?」
暗く嫌みっぽいことを言う。
フォルコは何食わぬ顔でさらっと答えた。
「姫は妖怪に味方する人間は大好きなのだよ。こっちは思う存分利用するだけだからね。その無知で愚かな人間を見るのを楽しんでいる」
話しながら歩き出すフォルコにまだらは早足で追いついた。
「まだらくんも、姫に会うんだったらもっと愛想よくしたほうがいいよ。仲間と離れたことは…「分かってもらいたくないですから、別に気にしなくていいですよ」」
振り返るフォルコとは目を合わせずに俯いていた。
しばらく長い道を歩いて館の中に入った。