籠の鳥
「こんなところで何してるんだ?ここにいたら危ないぞ?」

「危ないのはあなただよ。早く逃げて」

その直後に少女の周りにあった瓦礫が宙に浮いた。

やつはは「げっ」と声を漏らし、物陰に飛び込んだ。

さっきの瓦礫が横を勢い良く抜けて行った。

「結局あんなちっさい子も妖怪かよ…!」

「わたしは妖怪じゃない」

「!!」

声のした方を振り返ると少女が瓦礫を頭の上まで浮かばせて構えていた。

気を抜いていたやつはは避けることができず、少女が動き出す前に槍を顔に向ける。

「そんなら消えな。俺は妖怪以外殺したくはない」

少女は微動だにせず冷たくやつはを見下ろしていた。

「妖怪の子"だった"と言ったら?」

「!?!?」

その驚きで身体が咄嗟に動き、すれすれで落としてきた瓦礫を避けた。

姿勢を保ち、唖然とする。

「…妖怪だったら死ぬまで妖怪だろ。つかなんだよ…お前は化け物か?」

「詳しく言うと妖怪と人間の子だったの。最近は何かと変な恋愛をするよね」

「…化け物だな」

見間違いかと思ったが、それは違った。
< 147 / 193 >

この作品をシェア

pagetop