籠の鳥
確信がつき、やつはは身を余計強ばらせる。



少女はさやのように、言葉を発する時に口を動かさないのだ。

そのことに驚いていると気付いた少女は補足をした。

「これはあなただけに伝えているのよ。あなた以外には聞こえていない。つまりね、あなたは勝手に反応しているの。わたしのじっとした視線"だけ"にね」

「それじゃ僕は変人だね、嫌だな。"わたし"は何て言う名前なの?」

「名前なんて、つけてもらってないわ」

即答と等しいほど素っ気なく言った。



そして少女は気分を変えたように周りの瓦礫を浮かせた。

「クイズ大会しようよ。わたしがあなたを殺すまでに全てのクイズに正解したら勝ちよ。わたしは消えてあげる」

「なんて可愛らしい発想。でも結果は見えてる。僕の勝ちだ」

「やってみなよ。その為にわたしがいる。ゲーム開始だよ」

途端に周りの瓦礫が宙に浮いた。

「さて問題」

その瓦礫の上に軽くジャンプして乗ってみせる。

やつはは身を構えた。

少女は笑みもなく、待ちわびていたように言う。



「わたしはだ〜れだっ??」



それを合図に、周りの瓦礫が一斉にやつはに向かってきた。
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