籠の鳥

悲壮

目隠しをされているのだろうか…?


あれから何時間経ったか分からないが、目が覚めた。

「起きたか、まだら」

母さんの声が聞こえて頭を撫でられた。

しかし声が発せない。

「暗示をかけている。身体はおろか、声も発せぬだろう?だが許せ、これもおまえのためだ」

僕は必死に口を開いた。

それに気付いた母さんが「ん?」と耳を近付ける。

「……まだらは勘がよいのう。あやつを殺したのは私だ。それから私はすぐに消えたから、村人達はまだら以外の私とあやつは妖怪に殺されたと思われておる。まだらには酷すぎる話だったからあまり知らぬのだろう?」

「なんで……っそんなこと………」

やっと出始めた声で訴えた。

母さんは小さく笑う。

「まだらを守るためだったのだ。あやつはおまえの姿を見た時、殺せと言った。そして私を捨てると。 私はそんなあやつが許せなかった。だからあやつを殺した。しかし殺意は覚めず、おまえまで手にかけようとしてしまったのだ。あやつの子供…そう思うだけで沸々と言葉にならない怒りが込み上げてきた。 だからまだらを置いていった。殺してしまうかもしれないと、不安でとても怖くなったのだ」
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