籠の鳥
目の開かない僕の顔に触れ、顔を近付けた。

「だから別れる前におまえに吹き込んだ。あの歌を…また願った姿で出会えるように…。呪術を取り入れたものだ、すぐにまだらを人間から切り離してやるからの。さ、行こうかの」

母さんは僕を抱き上げた。



大切に包まれて軽々と運ばれた。







飛んできた瓦礫を避けて、少女を目で追う。


なんなんだ…

手も足も使わないのに何故あんなに早いんだ。

瓦礫が飛んでくることも分からない。


「ねえねえ、わたしは誰?」

「うっせぇな!今考えてるとこだっつの!つか知るわけねぇだろ!?」

「むじゅんむじゅん」

「うるせぇ"!!!」

地面に当たって砕けた瓦礫の破片が身体に刺さった。

当たったあちこちから血が滲む。

思わず身を縮めてこらえた。

「わたしショック」

「ショックだかクッションだか知らねぇけどさっ、何なんだお前は…超能力者か?」
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