籠の鳥
ざくやとさやが眉をひそめる中、主人を貶されたフウはもうマオが手を放せばフォルコに飛びかかりそうな勢いだった。

「マオ…妖怪の目って……」

「ざっくん、先に行け。ここはオジサンと虎猫でやる」

「……信じていいんだな?」

マオは眼鏡を外した。

「オジサンを誰だと思っている。すぐに片付ける」

その今までで感じたことのないマオの殺気に身を引いた。

フウもその気に共鳴するように目の色を変える。

「…さや、行くぞ」

そう言ってざくやは走り出した。

さやも反応してざくやを追いかける。



案の定、フォルコは横を走り去っても何も手を出してこなかった。

「置いてきてよかったのか?」

「残ったら殺されるぞ。あんな2人は初めて見た」

ゾッとしながらざくやは広い庭から館に入った。






「思ったより侵入者が多いのう」

母さんは眠る僕の頭を撫でながら呟いた。
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