籠の鳥
「「!?」」

突然心の中に響いた声を聞いた。

さやも聞いたらしく動揺している。

"出たいなら、じっとしているがいい。妖怪にしがみつかれてもな"

「は!?」

さやも顔を真っ青にしていた。



その間にも妖怪が近付いてくる。


やるしかないだろ…怪しいが、可能性はある。

"押して"駄目なら"引いてみろ"だ。


こちらを向くさやに俺は頷いた。

そのまま剣を下ろして立ち尽くす。

妖怪が抵抗をやめた俺に近寄ってくる。

そんなときだった。



「…!?」



妖怪達が突然方向を変えて、さっきまでとは違う速さで向かって行った。


そっちには、さや…?


振り返ってみると、さやが人間の姿のまま立っていた。
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