籠の鳥

覚醒

荒れた庭―。



そこに黒い生き物が横たわっていた。

既に他の命は存在しない。



大切に包み込んで…

冷たい身体に温もりを届けた。

それにより、自分が冷たくなっていくことは感じなかった。


愛しい人の為なら……



影は次第に消えて行った。







斬っても斬っても、妖怪の数は減らなかった。

いなくなる度に地面から湧き出てくる。

「ざくや!きりがないぞこれぇ!!」

「俺に訴えられたってどうにもなんねぇっつの!!」

互いに叫びあって妖怪を吹っ飛ばした。


このままじゃ2人共力尽きるのがオチだ…

何か考えないと……


"そんなにここから出たいか?"
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