籠の鳥
「人間のくせに!妖怪に同情するでない!!」

「!!」

俺の剣を振りかざす。



反応の遅かった俺は避けることができそうにない。

俺は目を強く瞑った。



しかし、いつになっても剣が落ちてこない。

伺いながら目を開けると、剣が音を立てて床に落ちた。



「まだら………っ」



女はまだらの名を口にして倒れた。



―まだらの手には黒い血がついていた。

「まだら…お前………」

まだらは顔を伏せたまま手から血を垂らしていた。



女は呻きながらまだらの名を呼ぶ。

「まだら…っ何故だ…私は、まだらを……」

「分かってるよ、全て分かってる。これは最後の手だよ……僕が幸せに生きるための…」

まだらは横たわる女の隣に膝をつく。

「だって……母さん、どうなっても僕のこと、愛してくれるって言ったよね……」

「っ…何故…私を………っ」



伸ばす手をそっととって握った。
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