籠の鳥
もう1つは人形に強い残留思念が残っていたことだった。



マオがフウを作るとき、マオは恋人の肉体に残留思念を残していた。

そしてその肉体に妖怪の魂を取り込んだのだ。



どうやらそれをフウも覚えていたらしい。

強く残留思念の残る人形につけこんで、中に入り込んだ。



そしてさやを抱き抱えて急いでいる俺に声をかけてきたのだ。

"「おいざくや」"

人形のため、身動きはとれない。

骨も筋肉もないのだから動けないの当たり前だ。

今はマオの肩に乗っかっている。



ただ生意気になったところだけは気に食わない。

「ねこさん!」

「にゃー」

「もういいっつうの!まだら!置いてくぞ!」

指を差しながら叫ぶさやにマオも反応して答えている。

それに呆れながらまだらを呼んだ。



うっとうしそうに返事をして出てきたまだらに、ふざけていたマオもやめて視線を移す。



まだらはマントの中にどうしようもならない爪を隠していた。
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