籠の鳥

旅人

その噂は、国内全土に広がりつつあった。



ある青年は妖怪を引きつける。

青年は旅をして妖怪を避けているらしい。



その青年が今、こちらに向かっているということをここの村人に聞いた。

俺もここに着いたばかりで、詳しいことは分からないが…

妖怪退治をするにはほっとけないものだ。

とりあえずここに向かっているのならありがたい。

余計な手間が省けるってやつだからな。


「ざくやぁ」

ぶりっこのような甘い声が自分の名を呼んだ。

振り返ると露出の高い着物の着方をしている女がいる。

「腹減った♪」

「さや…お前そんな綺麗な出で立ちしてんだからもっと上品なこと言えないのか?」


胸もでかいしくびれあるし…こいつの精神年齢には勿体無い身体だわ。

ま、元々存在しない身体だけどな。


村をフラついては立ち止まり足を休ませていた。


そろそろさやも元の姿に戻さないと、パンクするな…。


さやの空腹感が何よりの証拠。

力を封じ込める分、エネルギーを消費してすぐにお腹を空かす。


無理をさせるといざという時動かないからな、こいつ。
< 2 / 193 >

この作品をシェア

pagetop