籠の鳥
「さや、少し人気のないところに行こうか。食べ物でも買って」

「へえぇ"!?マジで!?やったぁ!!!」

そう言って飛び跳ねるなり、俺の腕を引っ張って活気ある村の中に入って行った。

活気があると言っても、今は静けさの方が目立つ。


あの青年が来るのだ…仕方がないだろう。


子供の姿はここに来てから今まで、1人見たか見てないかくらいで、きっと親が家に隠しているのだ。



俺達は近くのまんじゅう屋に入って、まんじゅうを3つと団子を4本買った。

が、俺が食べるのはそのうちの3分の1だ。

それ以外は全てさやの胃袋の中に納まる。

「あんた、妖怪退治屋かい?それなら、この後すぐに来るあの小僧を殺しておくれよ!?」

まんじゅう屋のおじさんに言われ、俺は黙って包みを受け取った。

そして俺は言う。

「俺は妖怪退治専門だ。疫病神になっている小僧は専門外、他をあたってくれ」

「とゆことで♪」

包まれたものを俺から大切に受け取り両手で包んで、さやはまんじゅう屋を飛び出した。

俺を呼んでまた走り出す。



そして人気のないやしろに出る。

「も-いい-?さやヘトヘト-」
「ああ、もういいぞ」

辺りを見渡して俺は許可を出した。

するとさやは喜んで飛び跳ね、同時に姿を変えた。



そこには黒い狼が1匹座っていた。
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