籠の鳥
まだらもつられるように空を見上げる。

「俺の村、妖怪に潰されたんだ」

俺はいい思い出のように語っていた。

まだらも最初は驚いて俺を見たが、力を抜いて聞く。

「俺は死に損ねたんだよ。村の悲しみを背負ってさ。それから数日間村人全員の墓を作って、泣いているうちに村を訪れた旅人に拾われた」

「それが妖怪退治屋になったきっかけですか?」

「いや。別にこん時は悲しみが深過ぎて妖怪なんてどうも思ってなかったんだけどよ。旅人と一緒に旅をして行き着いたあの妖怪研究家に出会って、そこで目指し始めた。あいつも元は妖怪退治屋だったしな」

俺は目を瞑って澄ました顔でいた。

そんな横顔をまだらは見ていた。

「あいつは倒すのがめんどいんだとさ。元々引きこもり屋だったし。ひたすら机に向かってるのが似合うやつだから、半強制的に妖怪退治を教わってあいつのパシリさ」

「ざくや、何でそんなに楽しそうなんですか?」

まだらが訊いてきて俺は空からまだらに視線を移した。
< 21 / 193 >

この作品をシェア

pagetop