籠の鳥
「さぁ?」

「さぁ?って!!」

「しー」

大声を出したまだらに、人差し指を口の前に立てて制した。

まだらも焦って口を閉じ、さやを見る。

どうやら起きてはおらず、狼並みに寝返りをうってまた寝息をたてた。

「そうだな…別に妖怪に恨みなんてないんだ。ただ、今生きている人々を失いたくないなって思って始めた。だから危害を加えない妖怪はスルーしてる。さやも同じ」

そう笑ってまだらに手を伸ばした。

肩を片手で抱きしめて俺に寄りかからせる。

「明日は大変だぞ。早く寝ろ」

まだらも軽く微笑んで目を閉じた。
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