籠の鳥
「なんで、黒くないの…」

「まだら、お前は人々を守り過ぎだ。人の血を見ない生活は、お前の人生を覆い隠した。………まだら…、」

ざくやは同情するように僕を抱き締めた。



放心状態になってしまった僕は理解できなかった。


ボクガ ヨウカイ ダト イウノカ?


「ざっくん、止血しよう。まーくんも」

なかなか離れないざくやを僕からはがした。



ざくやは涙を流していた。



そして僕はそれを横にさせられながら意志なく見ている。

同情していたのか、弟のことを思い出していたのか、理由は分からないがざくやの涙は滲み暗くなる視界に映っていた。


どうして…

僕はなんなの?

どうして僕は生きているの?

僕は間違っていたというのか?


分からない…

何も知りたくない‥。


目を瞑ると、涙が伝った。
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