籠の鳥
ただ少しばかり普通の狼とは違う。

姿形は一緒だが、彼女の周りには妖魂が1つ浮いている。

妖魂はさやがまた生き返る時の魂なのだが、昔はさやの周りに3つ浮いていた。

だが1つはさや自身から死んでしまい、もう1つは俺を庇って喪ってしまったのだ。

そして気をつけなくてはいかないことは、その妖魂の個数分生き返れるのではなくて、その個数分しか生きられないことだ。

つまり、さやの周りから妖塊が無くなればさやは生きていられなくなる。

だからもうさやの命は人間と同じこの1つだけ。

「ざくや!飯出せ飯!」


ドサッ

さやが恐い顔で唸って口を動かさずに声を発した。

それと同時にやしろの陰から物音が聞こえた。


やばい…誰かにさやを見られたか…!


「鬼ごっこ?わぁ!さやも入れてほし-な♪」

「さっ、さや!!」

駆け出したさやを止めることは出来なかった。
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