籠の鳥
毎晩のようにさやはまた木々の中で妖怪に戻った。

それを見ている者がいた。

「妖怪だ!!あの娘が妖怪になったぞ!!!」

そいつは村の者に叫び、村総出でさやを探し始める。

目撃場所には既にさやの姿はなく、さやは動けない身体で必死に逃げ回った。


妖力が回復すれば、また元の関係に戻れる…!


だが、夜明けと共にさやは捕まった。

村の真ん中まで引きずられる。



人々に囲まれて、さやは人間に化けた。



しかし村人が許すことはなかった。

「殺そう。そして山奥へ捨ててくるんだ。素早くな」

誰かが言い出し、さやに斧を向ける。

泣き叫んだ時、村人達の間から彼が見えた。

唖然としてこちらを見ている。



さやは彼の名前を叫んだ。

村人が皆、彼の方を向いた。



そして彼は、さやを拒否した。
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