籠の鳥
「例外?」

ざくやは黙った。

拭き終えてさやの隣に座る。

「俺はそこいらにいる人間とは違う、弱くなんてない。弱くいたくないんだ。幼子1人も守れない人間ではいたくない一心で、独りで生きてきた。……ははっ、意外に独りでも生きていけるぞ」

「知ってる。さやも独りで生きてきた」

ゴロゴロゴロ…

雷がなり始め、空が光ったがさやもざくやも何も反応しなかった。

「…馴れてるのか?」

「当たり前だ。怖くてもしがみつく奴がいなかった」


いつだってそうだ。

捨てられて雨に降られて、雷がなったってボロボロの自分が独りいるだけ。

それで何を頼りに生きてゆけというのだ?


「そうかぁ…俺としてはあんたみたいな可愛い娘がキャッてしがみついてきてくれた方がよかったのだがな」

「かわっ……………意外にイヤらしいんだなっ。」

「そんなことないさツンデレ」

澄ました顔で言うざくやを赤くなりながら見た。



また雷がなる。



さやは目を閉じた。
< 51 / 193 >

この作品をシェア

pagetop