籠の鳥
「…いつか殺されるんじゃないかって、さやは怖いんだ」

「え?マオに?」

さやはコクンと頷いた。

「どうしてあいつが眼鏡をかけているか分かるか?」

当たり前のことを訊かれて、質問気味に答える。

「遠視だからじゃないんですか?」

「遠視で、よく引き出しの中を探せたな」

「あ…」


そういえば…。

てか見てたんだ‥。


僕の反応を横目に見てさやは前に向き直った。

「あいつは遠視なんかじゃない。ざくやは遠視を信じてるが、さやは知ってる。あいつは"妖(あやかし)の目"を持ってる」

「"妖の目"??」

前でざくやと話ながら歩くマオを見た。

さやはすぐに返答する。

「ああ。マオは妖怪に"人間の目"を売ったんだ。そして"妖の目"を手に入れた。だから奴の片目には、ざくやとお前は映ってないはずだぞ」

「それじゃあ、マオには僕達は見えてないんですか?」

「片目だけな。でもま、右目は普通の遠視だがな」

「結局遠視じゃないですか!!」
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