籠の鳥

迷子

「………っ!」

北の村が見えてきたところで、突然まだらは耳を塞いだ。

立ち止まったまだらを俺は抱き寄せる。

「大丈夫だまだら、俺がいる」

それも聞こえているか分からないが、まだらは声を漏らしながら必死に耳を塞いでいた。

「ざっくん、今まーくんには歌が聞こえているのか?」

「そのようだ。近くにまだらを狙う妖怪がいる…気をつけろ」

俺達は当たりを見渡した。

何か来る気配はする。

が、どこからくるのか分からない。



するとさやが俺に近付いた。

「ざくや、おかしいぞ。臭いがしない」

「妖怪のか?そんなことはないはず…」

俺達が困惑していると、突然マオが叫んだ。

「下だ!!ざくや!!」

俺はまだらを抱いて跳んだ。

横にはさやも跳んでいる。

どうやらマオ達は逆の方へ跳んだようだ。



着地した時、妖怪の姿を見た。
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