籠の鳥
それを繰り返し叫んだが、一向に現れる気配はない。

「絶対に来…「はいはい分かったよ百足さん」」

マオが言葉を遮って俺に近付いた。

「相手は1匹だよ、ざっくんとさっちゃんでできるよね?」

そう言ってまだらを俺から引き離した。



まだらは抵抗なくマオの腕の中に収まった。

「ふむ……どうやらまだらにとって流れている歌は大きな精神的障害(トラウマ)のようだね。力が入っていないようだ」

まだらを抱えてマオは跳んだ。

「おいっ!お前も手伝えよ!!」

「オジサンは虫が大の苦手だから」

「逃げんな!!!」

「あっ、坊ちゃんが行っちゃう!誘拐は許さないぞ!!」

百足は砂煙をたてながら方向転換をして逃げるマオ達のあとを追い始めた。

それに気付いて、俺は急いでさやを見る。

「さや!今はまだらの身が第一だ!!2人でやるぞ!」

「らじゃ♪」

さやは笑って敬礼をした。
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