籠の鳥
「いっ、いやっ……!」

やつはという奴は、座り込む女の手を掴んだ。

抵抗する女を無理矢理抱き寄せる。

俺は見ていられなくなって1歩大きく前に出た。

「やめろよ、その子嫌がってるじゃないか」

涙目の女と一緒にやつはは俺を睨んだ。

「…何あんた、何か用?」
「その子を離せって言ってんだよ」

「何のことやら。僕は物事にそってやっているんだ。何も間違ってはいない」

全く離そうとしないやつはに、俺は困惑した。

「…それじゃあお前が何をしたんだ?何をしてそうなる?」

男はニヤッと口角を上げた。

「何って、俺が村に近付いてた妖怪を倒したの。あれは大きな百足だったなぁ……僕は本当はお金を先払いしてもらわないと妖怪は倒さないけどさ、やっと見つけた村を壊されちゃたまらないでしょ?だから今回は特別に後払いになったの。ね?」

そう言って女に顔を近付けた。

女は涙を流しながら顔を背ける。

しかし俺はそんなことには気がつかなかった。

「おまっ…あんたがもう一匹を倒していたのか?」
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