籠の鳥
行こうとするとまだらが俺と代わると言ったが、俺は断った。


もう体力は回復しているし、別に大丈夫だろう。

宿を出て村を歩いた。

結構裕福な村なようで、村人達も元気があるほうだった。

昔に見た酷い村は、凶作で飢餓人があちこちに倒れていた。


それを思えばまだこちらは報われている方だろう。



食べ物屋を探していると突然、女の悲鳴が聞こえた。

どうやら妖怪が現れたわけではないが、何かあったらしい。

俺は急いでその声のする方へ向かった。



少し野次馬が集まる店に入ると、1人の男が尻餅をついた女を見下ろしていた。

「分かんないのかなぁ?この村を救ったのはこの俺様なのに。何も礼はなし?せめて飯ちゃらにするとか、女用意するとかできないの??」

「そ、そんなこと…」

「だからあんたにしたの。やつは様のものになれるんだ、感謝しなよ」
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